私は30代後半の独身女だ。
柴犬と共に実家の所有するマンションで悠々自適に一人暮らしを謳歌している。
一度嫁に行ったがすぐに戻り(ここは色々と察して欲しい)今後結婚する予定もなく浮いた話もない。
仕事は営業職で、それなりに忙しい。
こんな生活を20代後半から続けており、特に変わり映えなくこのまま歳を老いて行くのだろう、、、
と思っていた。
そうあの時までは。あの時、彼を見つけてしまったその時までは。
2016年の冬、それは突然起きた。
ある休みの日、普段まぁ見ない音楽番組を見ていた。我が母(これからこの母は私の運命を大きく変える一翼を担う事になる)は元々アイドルが好きで、昔からコンサートなどに行っていた。なので、今でも誰のファンという事はないが、アイドルが音楽番組に出演していたら良く見ていた。
この日も母が音楽番組を見ており、さりげなく流しながら見ていたのだ。
すると母が「今一番気になる子が出てきた!」と言うので、テレビに目を向けた、、、
それが全ての始まりだ。
私の目の前にかつて見た事のない天使がいた。
茶色なのか深緑なのかわからないジャケットに黒の細いパンツを履きながら、憂いを帯びた表情で歌って踊る少し茶髪の天使。
身体に雷鳴轟くとはこの事なのか!!!!!
この世にこんな美しい表情で歌って踊る人間がいるのか??????
いや、ホモサピエンスの概念を超えている。
天使なのか?
いや、壁画か??
いや、彫刻か???
どれも彼を例えるには言葉が陳腐すぎる。
そうか天使か、、、、
それから私は彼から目を離せなくなった。
そう、彼がこの世の奇跡こと
「藤ヶ谷太輔」である。
この日、彼を一目見た瞬間に私の心は彼に囚われたのである。
しかし、今までジャニーズに興味なんかなかったし、、、いきなりファンになるのも変だよね。
と、私の中の何かがそう言ってブレーキをかけた。
それが何なのかは未だにわからないし今では余計な事してくれたな!!と思う。
だが、やはり一度囚われた心がある以上気になって仕方ないというのがホモサピエンスの性。
ひとまずインターネットを駆使して彼を検索した。
暇さえあれば検索した。恐らく2016年12月、藤ヶ谷太輔検索部門があれば優勝してたのではないか?というくらい検索した。
そこでわかった事が
どうやら苦労してるらしい。
どうやら自己評価が低いらしい。
どうやらクールに見えるがよく笑う天然らしい。
どうやら長男でグループ内でも長男気質を発揮してるらしい。
どうやら安室ちゃんの大ファンらしい。
どうやら姫キャラでもあるらしい。
なんだって?????
まず、安室ちゃんのファンだと?
私は安室ちゃんのファンクラブの会員No.が数千番台というほどのファンだぞ??
初恋の人が安室ちゃんだと??
親近感!!!!!(勿論勝手に)
苦労しててクールで長男で天然でお姫様とは??
何だそれ???そんな人いる??
意味不明!!!と思った。
(しかし、この後意味不明だと思った事が全て現実の藤ヶ谷太輔である事を知る)
んーーーなんかややこしいな。やっぱジャニーズのファンになれないな!!なんて思った。
しかーし!!!!!!先に述べた、我が母が私を底なし沼に突き落としたのである。
年が明けて2017年お正月。ゆるりと三ヶ日を過ごすつもりだった。しかし、我が母がなんと、、、
2016年12月に発売されたばかりの
「LIVE DVD & Blu-ray 『CONCERT TOUR 2016 I SCREAM」を購入しやがったのだ!!
初めて見るジャニーズのLIVE映像。
何故か動悸が凄かった。これを見たらもう戻れないところまで来てしまうかもしれない。
そう本能が言っていた。
やめろ!戻れなくなるぞ!
そうだよね。見ない方が身のためだよね。
そんな攻防を繰り返した挙句、私はついに再生ボタンを押した。この先に待ち受ける運命も知らずに。
そこに写っていたのは、この世の奇跡としか言えないほどに美しい人だった。
ある曲ではお姫様のようにキュート。
ある曲ではアイドルらしいぶりっ子。
なんだ?なんなんだ?????何を見させられているのか??こんなキュートでぶりっ子しても許されるホモサピエンスがこの世にいるのか??
私は一度止めた。心臓に危険が迫っていたからだ。
一度呼吸を整えて、心臓に「続きを見る覚悟は出来てるのか?」と聞いた。
心臓は「もうどうにでもなれ。覚悟は出来てる!」
そう答えた。
そして、続きを見た。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!
なんだこれは?
黒い毛皮のマントをヒラヒラとさせながらセンターでゴリゴリのラップをしてる天使がいる!!
さっきまでのキュートぶりっ子と同一人物なのか?嘘だろ???
こんな事あるのか???
同じ天使でこんな振り幅はあるのか??
そうか、彼は天使の概念も超えてるのか。
そして、私はそっと停止ボタンを押し、同時に
「キスマイ ファンクラブ 入会方法」
と検索した。
そして、ついに、、、ファンクラブに入会してしまったのである。
ひと月も経たずにファンクラブの会員証が届いた!
ついでに母もファンクラブに入った。
それからの私は、藤ヶ谷太輔への気持ちのストッパーが壊れ、ありとあらゆる物を買った。
幸いにも営業職の為それなりに使えるお金はある。
毎月彼の作品、キスマイの作品を購入した。
そして、ついに彼のデビュー前の作品にも手を出した。
そして、2017年夏には全ての作品をコンプリートした。
この数ヶ月に使った金額はあえて言わないでおこう。自分の為にも言わないでおく。
しかしながら、彼をそしてキスマイを応援していると充実した時間を過ごせる。
CDなどの作品が出る度に複数購入する。
それはそれはお金がかかる。しかし、彼らがてっぺんを取る為に!!という思いがある。
その為に仕事を頑張っている。
てっぺんを目指す彼らの為なのだ。
そう、まるで自分も少年漫画の主人公の仲間気分を味わえるのだ。
芸能界という荒波の中彼らと一緒に冒険に出ている自分。
くぁーーーーーーー!!!
楽しいぜ!!!!!
あの時藤ヶ谷太輔の沼に落ちた女は、この先も彼とともに冒険に出かけようと思う。
そう、彼がてっぺんを取るまでずっと。